アポ- マクロ-エルマリート-TL F2.8/60mm ASPH

APO-MACRO-ELMARIT-TL F2.8/60mm ASPH / アポ- マクロ-エルマリート-TL F2.8/60mm ASPH (以下AME TL60)
APS-CサイズのライカTLシステム用に設計された単焦点マクロレンズだ。35mmフルサイズ換算だと90mmの焦点域に成る。

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このレンズのご先祖様はライカRマウントApo-Macro-Elmarit-R 100mm f2.8 (以下AME100) フィルム時代に遡って ライカ商品コード11210: 1988年の発売です。それ以後レンズ構成が変わる事無く作られていました。760gとズシリと重い頑強な銅鏡には6郡8枚の構成でレンズが組み込まれていました。 「アポ・マクロ・エルマリート」頭文字をとってAMEと呼ばれてます。

イカR使いの間では伝説のレンズ、このレンズの描写については、当時の関係写真雑誌やレンズテストにおいて絶賛され、このレンズが使いたくてライカRに嵌ったと言う人達も多い。
マクロレンズであるにもかかわらず、 無限においても撮影時に肉眼で確認出来ない微細なディテールまで写しこむ事の出来る稀有なレンズでした。

さてAMEを継承したAME TL60のレンズ構成は9群10枚で、そのうち4面が非球面。最短撮影距離は16cmで、レンズ単体で等倍撮影が可能。レンズの重さは320g
オリジナルのAME100が6郡8枚のレンズ構成で最短撮影距離45cm 重量750gであったのに比べると大幅に軽量化されて、最短撮影距離も短くなっているのは、APS-C ミラーレスに対応した恩恵であろうと思われます。が…何故かフィルターサイズはE60で同じです。こうゆう所に開発陣のAMEへのオマージュを感じてしまいます。
E60と言うフィルターサイズは特殊なサイズで、なかなか見当たりません。防湿庫からAME100を取り出して、AME TL 60にフィルターを付け替えた時は時の流れを感じて感慨深いものがありました。 いえいえAME100も使うんですよ..つ…使います…ホントに

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レンズフードはAME100が組込式で引き出して使うタイプで若干長きさが不足していたのに対して、十分な大きさと深さを持ったBayonet mountの外付けタイプに成っている(ちなみにSUMMILUX-TL F1.4/35mm ASPHと共通です。)格納する時は逆さまにしてレンズに装着できるので便利です。最近のSLレンズも含めてライカはレンズフードなどの部品を共通化してきています。ドイツ車も最近大幅にプラットフォーム化が進んでいるので、これはエンジニアリングデザインの大きな流れなのかもしれない。まあプラットフォームといえば聞こえが良いが言ってみれば部品の共通化によるコストダウンなんですからあまりやりすぎると製品の面白みがなくなるのよね。
一連のSL/TLレンズの外装デザインは共通していて、高級感があるのだが、あまりにもそっけない。Sレンズの様に焦点域の小窓があるとか、ギミックが盛り込んであると楽しいのだが、これは無い物ねだりでしょうか? 

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実際に使ってみたレポートです。AFですが LEICA TL2に装着しての使用感はまずまずです。マクロ域も含めて遅くはありませんが、飛び抜けて早くもありません。普通に使えます。ただしコントラストAFなので、コントラストの薄い被写体だとAFが迷い出し収まるのに時間がかかります。そういう時はイライラしながら何回もやり直すのを止めて、潔くMFに切り替えて撮ってしまうのが一番やりやすいし、きっちりと狙った所にピンを置けます。
TL2のマニュアルフォーカスはとてもやりやすいです。ただしTLのレンズに限ります。…マウント変換アダプターを使ってのMレンズ,RレンズのMF使用は個人的にあまりおすすめしません。MF操作に入るまでのステップがめんどくさいですよ。

AME100が6郡8枚の構成で取り付けマウント面からの全長は104mm。数字上でのスペックは小型に見えますが、実はレンズフードを伸ばすと全高123mm 前群繰り出し式でのフォーカスなので、最短撮影距離までに回転フォーカスリングを回して繰り出すと、レンズフードを伸ばした状態だと、実に175mmまでニョキッと全長が伸びます。前玉は回転しませんが、全長がこんなに変化するとワーキングディスタンスが変わってしまうので、三脚を使っての近接撮影では難儀しました。AME TL 60はピントを合わせるときにレンズの先端が伸びないインナーフォーカス式なので動作した時に全高も変わらないし、前玉も回らない。レンズフード無しの取り付けマウント面からの全長は87mm レンズフードを取り付けての全長が134mmとコンパクトな設計です。時代は変わりましたねぇ
AME TL60の断面図を見ると前玉から数えて4/5/6枚目のレンズ群がフォーカスレンズだと思われます。
ここまで、このレポートを書く為に、レンズフードを取り外したり着けたりして測定していたら、AME TL60のレンズフードのBayonet mount部分が壊れてしまいした。
メタルフードの内側にABS成形部品のバヨネットが接着されているのですが、外れてしまったんですね….(^^;;;;;
うう〜ん 恐るべしライカ品質…黒ボンド着けて嵌合させれば、治ると思いますが、どうしようかな自分で修理するか…迷うところです。(笑)

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変な話ですが、このレンズを装着して使ってみて初めてTL2の良さが解って来た。
TL2はElmarit-TL 18mm f/2.8 ASPHとの組み合わせで購入して使い始めたのだが、何となくしっくり来なくて、使い始めは手ブレにも悩まされたり、使いこなしに散々苦労しました。
18mmは確かに画角も広いし、薄型でコンパクトなのでライカAPS-Cの導入モデルとしては、一番の組み合わせかなぁ と思ったのですが、意外にもアポ- マクロ-エルマリート-TL F2.8/60mm ASPHとの組み合わせの方が手に馴染むのです。
購入前に想像していたのと大違い。手ブレなども格段に少ないし、TL2のボディに対してはちょっと大きめに感じるAME-TL60ですが、レンズを左手の掌で下から包み込む様にして構える事で凄く安定します。これは実際に使ってみないと分からないものですね。
上手く造ってるなぁ!と思います。何故ならレンズによってf値とシャッター速度のアルゴリズムを変えているんですよ。AME TL60の場合は焦点距離が長いから、開放値f2.8で暗い所で撮影すると、最低シャッター速度を1/160s 辺りで制御しているんですよ レンズ焦点距離の1倍の値のシャッター速度と言う昔からのセオリーを踏襲して居るので上手く撮れるんだよね
APS-Cだと1.5倍のシャッター速度に成るわけです。

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AME TL60をTL2に装着して実際に使ってみると実に繊細かつ精密な描写が素晴らしくて解像度は申し分ありません。AME100と同じ様に描写が決して硬くならない。
驚くほど細部まで精密な描写が得られる解像性能を保ちながら、立体的な質感描写も再現している。
近年のライカ高性能レンズに見られる、アポとアスフェリカルの組み合わせが活きているデジタル世代の高性能レンズだと思う。
Mレンズで有名なAPO-Summicron 50mm F2.0 ASPHに共通するような目の覚めるようなシャープネス、微塵の滲みもないコントラスト、綺麗なボケが得られます。
値段から言えば本当にお買い得なレンズだと思います。 

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雨の中で傘を指しながら、庭の花を撮ってみた。撮影データ: ISO320 f/3.5 1/160s 撮影ディスタンス20cm
露出補正を一段アンダーに振って、雨粒の透明感を出してみた。
大きさ5cmにも満たない小さな日々草の花弁の上を転がる真丸の雨の雫をうまく捉えることができた。ピントの合っている雫とフォーカスしていく後ろボケもとても綺麗だ。
手持ちで、これだけ撮れれば十分でしょう。