鮨について、

江戸前の鮨って何?

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握りずしは江戸時代後期の文化・文政年間(1804~1829年)に出現したと言われております。
僕の理解では、江戸前ずし 東京鮨 いわゆる握り寿司の事
江戸前鮨は煮蛤、こはだ、煮穴子、まぐろのづけ 玉子焼きとネタに「仕事」がしてあり、特にマグロにこだわりがある。

江戸前」という言葉にはふたつの意味があります。ひとつは江戸の前、つまり現在の東京湾の魚介類を使う。
車海老、穴子、蝦蛄(しゃこ)、蛸(たこ)、蛤(はまぐり)、赤貝…

もうひとつは、「江戸前」の「仕事」という意味です。江戸時代に鮨は始まったようですが、昔と言っても昭和初期の頃まで近代的な保冷設備と保冷輸送手段が確立していませんでした。新鮮な魚介類も、時間の経過とともに鮮度が落ちて、品質が悪くなってしまいました。そこで、魚介類が新鮮なうちに「仕事」を施し、生よりも旨味を凝縮させ、保存に適した状態に仕上げる工夫が開発されました。江戸前鮨の「仕事」で代表的なのが「塩や酢で締める」「蒸す・煮る」「タレに漬け込む」といった技法です。

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江戸前の鮨で有名な握りの一つ煮蛤があります。蛤の美味しい季節は採れる地域で異なるが、産卵前の身が肥えた頃が一番で、中には卵を抱えたのも有るので、そうなると最高に楽しめる。昔から桑名の「焼き蛤」で有名な桑名 伊勢志摩の物は5月頃が良いようだ。
東京近郊の市場に出かけてみると、蛤は年中出ているが、茨木や千葉県産のものが多いようだ。千葉の蛤の旬は6〜7月頃らしい。蛤は大きいものは焼き蛤が良いのだろうが、柔らかくふっくりとした食感と、旨味のある出汁が味わえるので、僕はお椀に丁度二個入るくらいのサイズを求めてお吸い物に仕立てるのが好きだ。

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江戸前鮨は江戸っ子の気質である“初物好き”にも関係がある。食べ物は四里四方の旬のものを食べる。
特に“初物を食うと七十五日長生きする”といい、初鰹、なすび、白魚などの走り物が熱狂的に好まれた。
江戸前寿司を代表するネタのひとつであるコハダですが、出世魚としてシンコ・コハダ・ナカズミ・コノシロと名前を変えて成長していきます。
シンコは6月頃から出始めますが、すぐに大きく成長してしまうので、気をつけていないと食べそこねてしまう。指の先ほどの大きさのシンコを握り一貫に2~3枚つけるのが一般的だ。走りのシンコは値段も張るし、何よりも仕込みに手間がかかる訳だが、皮目も柔らかくふっくらとして旨味もある。何より鮨の姿が綺麗だ。
シンコに目のない僕はこの頃はカウンターに座るといの一番にシンコが在るかと尋ねる。あれば二貫握ってもらって、美味しければ後でまた追加する。

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僕は金沢の生まれだけれど、子供の頃の鮨の記憶は、お正月とか、祝いの席での押し寿司が記憶に残っていて、握り鮨の記憶はあまり無い。当時(昭和30年代)は魚屋がリヤカーを引きながら「魚いらんかいえ〜」と言いながら売りに来るのですが、今では有名な甘エビでさえ、生で食べることはなくて、甘じょっぱく煮付けにしていました。子供でしたから甘いのが好きだったんでしょうね。電気冷蔵庫は丁度昭和30年代を境に普及しましたけど、当時我が家には電気冷蔵庫は無かったな。夏場は氷屋が運んできた氷を入れる冷蔵箱を使っていたような気がする。
最近は北陸の地魚を握った鮨屋が繁盛しているようですが、たぶん金沢は鮨の食文化で言えば関西の鮨に成るのではないでしょうか? 

関西の鮨屋は大阪の北新地で、飲んだ後によく行った 庶民的な「すし処おとわ」と ちょっと割烹料理系の「鮨なか川」がある。関西の鮨は新鮮な素材に対してのこだわりが強いのと、近場に瀬戸内の漁場が有るので、美味しい白身魚が多い。必然的に鮨ネタも白身魚系が多い。例えば高知で「のれそれ」、大阪など関西で「べらた」と呼ばれている透き通ってベラベラしたマアナゴの稚魚これが鮮度が命でとても美味しいが一日経つと全く美味しくない。富山のシロエビと同じですね。

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で、本当の江戸前の鮨って一体どうなんだろう?と興味が湧くわけでございまして、
東京には有名な「すきやばし 次郎」とか「鮨 かねさか」なんてのが在るわけですが、とても恐ろしくておいそれと出かけるわけにはゆきません。
でもね とうとう見つけました
あの池波正太郎が通った新富鮨総本店親方の最後の継承者がやられているお店、一旦握るのを止められたのですが、娘さんが始めたアイスクリーム屋さんを改装して
小さなお鮨屋さんを始められていました。お邪魔して、おまかせで握って頂いて、軽くビールも頂いて堪能させていただきました。
凄かった!何が凄いのって、握り方が凄い。 
米粒が口の中でハラリと解けてゆく。食べるのが惜しいくらいにきれいに握られた鮨
カステラのようにフンワリとした江戸前の玉子焼。
丁度カウンターの横に座らせていただいたので、仕事をしている手元を見ながら、楽しんで食べさせていただいたのですが、本当に軽やかな手さばきで感心しました。
贅沢なひと時でした。
気がついたのですが、客筋がとても良いお店でした。 ….でしたと過去形で書いたのは
残念ながら、最近は体を壊されたそうで、お店はお休みと成ってしまいました。

もっと残念なのは、もう少し足繁く通って、仲良くなってから仕事の写真を撮らせて頂きたかった。 
いくら無粋な僕でも最初から、カメラを持って行く勇気はございません。